あまりにも凄い戦いでした。
チャンピオンの中のチャンピオンを
決める大会WBSSでの頂点という
のは、つまり4団体のチャンピオン
の中の頂点を決める大会で、
他にも団体があるけれども、4団体
でのチャンピオンになれば、他に
同規模の大会がないので、当然
このバンタム級での、最高の頂点に
立つ事になります。
その頂点に井上尚弥選手が立てたという
事です。素晴らしい!というか大感動
です。
この試合は、これまでのような井上選手
の秒殺のようなKO勝ちではありません
でした。
相手もレジェンドといえるくらいの
チャンピオンで、5階級を制覇した
圧倒的な経歴を持つドネア選手です。
ただ、試合前は、それまでの井上選手が
あまりにも鮮やかに、KOしてきた
試合ばかりで、モンスターという称号を
得ており、ドネア選手は、すでに36歳
にもなって、ボクサーとしての全盛期を
過ぎていると見られていた事から、
ほとんどの人が、井上選手の圧勝、
そして早いラウンドでのKOを予想して
いたようです。
ですが、実際の試合は、12ラウンドを
フルに戦っての判定勝ちです。
しかし、誰もその事に文句を言う人は
居ませんでした。それだけ感動的だった
からです。
いったいどのような試合だったかを、
みなさんとともに振り返っていきたいと
思いますが、よりわかりやすく読んで
いただくために、一番わかりやすいの
でハイライトでのスローモーション付き
動画と試合翌日の記者会見の動画を
貼り付けておきました。
まあ最後の記者会見をご覧になれば、
どのような試合内容だったかは、よく
わかっていただけるとは思います。
つまり井上尚弥選手は、ゲーム前の
プラン通り、ドネアとの距離を測り
ながら、持ち前のスピードと、反応力
で、ドネアより優位に立っているので、
それを武器に戦っていこうという事
で試合に入っていつたようです。
そして1ラウンド目を終えて、
ガードから受ける相手のパンチの威力
も、相手のスピードなども、自分が
対処できる想定内だったという事で、
かなり安心できたようです。
本人は、そこでの油断はなかったと
いっていました。まあそうはいっても
なにかスキのようなものはあったの
でしょう。
それが2ラウンドにドネアの
フェイントからの左フックをまとも
に食らってしまった事で、全ての
プランが崩れてしまったという事
です。
あまりにも速いので、ハイライトや
フルの動画を観ても、あパンチ
もらったくらいにしかわからない
ですが、下にもあるスロー再生を
観てたら、まともに入っているのが
わかりますね。
この2ラウンド目に入って、ドネア
が、井上選手のスピードにも負けず
に、何度もパンチをまとめて攻撃
してします。
もちろん井上選手は、ほとんどを
見切り、ガードとステップで
かわしていましたが、振り返ると
確かに、1ラウンド目で、ガード
をしていれば大丈夫という気持ちに
なれた事で、とにかくガードで
かわしていつでも自分が攻撃に
出れるような態勢になっていた
ようです。
そしてまたこのラウンドのドネア
は、最初からボディと顔面への攻撃
を打ち分けて多彩に攻
よめていました。
つまりは、ボディも井上選手は警戒
するように誘導されていたという事
です。
そしてそのボディのタイミングと
態勢だったので、ガードを下げて、次に
自分が打ちにいくパンチのイメージ
をしていたところに、ボディに来る
態勢をフェイントにして、顔面へ
左フックを浴びせてきたのです。
そんな内容は、振り返って言って
もらわなければならないのですが、
確かにもらったと一瞬感じたその
パンチが、その後の試合の流れを
決定するようなダメージを受けた
ものだったという事です。
もちろん右目のまぶたあたりを
カットして流血してしまい。
これまで、きれいな顔のまま、
圧倒的な強さでKO勝ちしてきた
井上選手の初めての流血でした。
だからその精神的なショックから、
井上選手が崩れていくのかなとの
思いがよぎりましたが、それから
が凄かった、何度もピンチを迎え
ながらも粘りに粘って、最後に
ぺースを掴みましたからね。
話を戻しましょう、その左フック
のダメージは、カットして見にくく
なったという事よりも、右目の眼球が
ダメージを受けて、ドネア選手が
二重に見えるようになったという事
で、すごく深刻な状態だったようです。
もちろん精神的な動揺はあったよう
ですが、その中でダメージをうまく
隠しながら、戦術を変えたようです。
つまり、ガンガン攻めると、左フック
をもらうので、もらいにくい、ドネア
の左側を中心に攻めていきながら、
つめずに、パンチを打っては左右に
ステップアウトしてかわすボクシング
スタイルに変えたという事のようです。
そんな、戦い方にさせられてしまつた
のは、ドネア選手が思いの他、まだ
まだ強かったからで、そんなドネア
選手に、右目のダメージを負ったまま
戦い抜いた、井上選手の精神力には
驚くばかりです。
ハイライトを見ていただいたらよく
わかっていただけると思いますが
この試合のもう一つの山場が
9ラウンド目にあります。
左フックを警戒している井上選手の
逆サイドの顔面を捉える、ドネアの
右ストレートをまともに食らって
しまうシーンです。
これは衝撃という点で、第2ラウンド
の一発とほとんど同じくらいの
ダメージを受けるものであったよう
です。
思わず井上選手がクリンチに逃れる
くらいのパンチをもらってしまった
のです。
この時ガクッと足にきたのが誰にも
わかるような井上選手の絶対絶命の
瞬間でした。
その時の事は、会見の動画で何度も
話される事になりますが、井上選手は
パンチを貰って頭に閃光が走った瞬間
息子さんの顔が浮かんだようです。
井上選手は、その時の事を、「あの時
家族の顔を浮かんだ事で、踏ん張れた
、家族の支えがなかったらあそこで
終わっていた」と振り返っていました。
やはり家族愛は大きい!そういう意味
でも、感動的でした。
そしてなんとか、その9ラウンドを
しのぐと、10ラウンドから、反撃に
出るのです。
もともとそのような展開にする予定
だったというから驚きですね。
逆に、常に井上選手をKOしようと
全力を出してきたドネア選手に
疲れが見え始めていたように見え
ました。
もちろん右目視界がほとんど効かない
なかなので、パンチはもらいますが、
最低限のガードや防御などを意識
しながら、井上選手は、ひさしぶり
に大攻勢に出ます。
そして結果的にポイントを奪い返す
流れになりました。
なんと、右目の視界が不良ながら
持ち前のスピードで前に出ると
井上選手のパンチが、どんどん
ドネア選手の顔面を捉えていきます。
そして11ラウンドに、井上選手の
右アッパーからの、左ボディが
見事に決まり、ドネア選手がたまらず
ダウンしてしまいます。
少し遅れ気味のカウントだった
ために10カウントにはなりません
でしたが、ぎりぎり?のところ
で持ちこたえたドネア選手は、
ふらつきながらも、左フックを
用意しています。このあたりが
百戦錬磨のレジェンドたるゆえん
なのでしょう。ドネアもなんとか、
11ラウンドをしのぎきります。
しかし、ここでポイントで優位に
立てた事を確信できた井上選手が、
あとはかわすボクシングを展開
すればいいのに、最後のの12
ラウンドもガンガン攻めて、大観衆を
魅了してくれました。
そして3-0の判定で勝利です。
会場中を感動の渦に巻き込んで
まさに伝説のチャンピオンから
真のチャンオンの称号を受けとって
世代交代を、世界に示して見せた
のです。
ドネアもこの試合後、自分のパンチを
あれだけ受けて、立っていた選手は
いなかった、彼こそ真のチャンピオンだ
とコメントしています。
それだけドネア選手も出しきっての
戦いの充実感があり、試合の後は、
互いの敬意がさらに感動を呼びました。
井上選手もドネア選手の事を「めちゃ
めちゃ強かったです」といっていました。
この両者が全力でふつかったあとに
見せる相手への敬意のコメントが、
見ていた全ての人をさらに感動させた
と思います。
しかしなんという試合だったでしょうか。
井上選手が2ラウンド目に大ダメージを
受けてからも、戦術を変えて対応し、
ドネア選手もまた、多彩な戦術を多用
してのぶつかりあいで、流れが
何度も変わるようめまぐるしい展開で
目を離す事は、一瞬たりともできません
でした。
まさしく、いつまでも語り継がれる
くらいの伝説の名勝負を観る事が
できて幸せでした。
この試合では、井上選手の天才的な
才能よりも、その精神力とタフネス
ぶり、そして冷静な判断力や試合勘が
光った試合でした。
流血して、眼球のダメージからふらふら
になるような試合をショックだったと
振り返るどころか、「楽しかった」
「やっとボクサーになれた」という感想
をもらした井上選手の、精神の豊かさ
にこそ、真のチャンピオンのハートを
みた思いがします。
このバンタム級で最強を証明して見せた
とはいえ、まだ何人か強い相手が、この
階級には、残っているので、それを
倒して、真の最強を証明したいという
井上選手のこれからの試合もまた楽しみ
です。
ハイライト (reaction video) 【LIVE】12Rの激闘 ドネアに判定勝ち
WBSSバンタム級優勝 井上尚弥(26)会見
ではまた(^^)/