大坂なおみ選手が、またやってくれ
ました!去年の全米優勝に続いて、
4大大会連覇となる、全豪オープン優勝
の快挙を達成し、さらにこれでアジア人
初となる女子テニス世界ランキング1位
となったのです。
昨日の全豪決勝は、ゴールデンタイムの
NHKだったので多くの方に観てもらって
いたと思います。
まさに優勝の瞬間、列島が歓喜のオーラで
包まれていたでしょう。
また視聴率がどうだったか、あとで
チェックしておこうと思います。
しかし決勝は、まさに激闘でした。
クビトバ選手は、ウィンブルドンを二回も
制した最高級の実力者。
4大大会の中では、最も格式の高い大会
を制する事は、多くの選手たちの目標でも
あります。そこで、勝つという事は、実力
だけでなく、勝負強さや強運も持って
いなければなりません。
以前男子で、8度4大大会優勝を誇る
イワン・レンドル選手が、全英だけ一度も
優勝できず、悲運の王者として有名だった
りします。
ていうか、彼の場合、19回も4大大会決勝
に進出(19回は歴代2位、1位は30回の
ロジャー・フェデラーで彼は優勝回数も歴代
1位の20回)したにもかかわらず、8勝
11敗という、勝負弱い面を持っている
選手でした。
そこへいくと大坂なおみ選手はこれで、
4大大会決勝で、2戦全勝なので、勝負強い
のが明らかですね。
さて戻りましょう💦キャリアでは、
大坂なおみ選手を大きく上回っている
クビトバ選手は、やはりこの試合でも
その経験と精神力が活かされていました。
しかもクビトバ選手は、2016年暴漢
に襲われて、利き手の左腕を大ケガして
しまい、テニスどころか、日常生活を
するためのリハビリから始めなければ
ならず。「当時テニスがまたできるか
どうかわからない」状況だったといい
ます。そういう状況で2年前は大会に
出場することすらかなわなかったと
いうのです。
でもよくぞ、復帰して、また少しずつ
ランキングを取り戻し、この全豪の決勝
にまで、戻ってこられたものです。
当然、彼女の精神力は、もともと強いもの
だったでしょうが、さらにそれを大きく
高めたのは間違いないでしょう。
以前やはり思い出すのは、当時グラフを
凌ぎ最強と謳われたモニカ・セレシュ選手の
事です、彼女はなんと試合中に暴漢に
背中を刺されてしまいます。
暴漢のいうには、「モニカ選手が出なく
なれば、グラフ選手がまた1位に返り
咲けると思ったから」などといってますが、
ひどい話ですね。そんな事をしたらグラフ
選手が1位になっとしても、泥を塗る事に
なり、グラフ選手もファンも素直に喜べなく
なるという事がわからないんだから💦
そういう結果を全てと思うような、意識が
世の中を不幸に落としていきます。
それでもセレシュ選手は、復帰してきて、
再びグランドスラムのタイトルを奪うの
です。この精神力も素晴らしいものでした。
また戻りましよう💦
とにかく暴漢に刺されるという、精神的
にも、肉体的にもダメージの大きいこの
試練を乗り越えてきたクビトバ選手の
精神力をまさに、この試合で見せつけ
られる事になったわけです。
試合を振り返っていきしょう。第1セット
はまさに互角でした。
お互いあらゆるプレイにスキがなく、
それぞれの持ち味を出しながら、
ゲームが進行していきます。
準決勝でサーブのいいプリスコバ選手
のファーストサービスをコートの中に
入って取って、有利に試合を運んだ
大坂選手でしたが、このクビトバ選手
は、コースをうまく使うサービスで、
大坂選手のリターンを封じ込みます。
大坂選手はさらに、リーチの長い
クビトバ選手の、熟練したボールの
プレースメント
(効果的に相手コートの場所にボールを
配置する事)で、翻弄されたりします。
もちろん大坂選手のコースを狙いすました
ショットも決まっていきます、攻めの
テニスはこの試合でも遺憾なく発揮されて
いました。
全く目が離せない状態のまま、6-6で
タイブレークへ。
しかし、キャリアで大きく上回るクビトバ
選手も、4大大会決勝は久しぶりです、
今大会、ここまで1セットも落とさずに
決勝まで来たクビトバ選手もここは、
緊張があったかもしれません。対する
大坂選手は、去年直近の4大大会の全米
決勝を戦って勝ったばかり、この時に
精神的な面では、わずかに分が大坂選手に
あったでしょう。もちろん最近の大会で
結果を出してきた自信が、大坂選手の
プレーを支えて、タイブレークを獲り、
試合は、問題の第二セットへ。
タイブレークを落としたクビトバ選手は、
逆に、緊張どころじゃなくなり、ふっきれた
ように、攻めのテニスを展開します。
なんといきなり第2ゲームの、大坂選手の
サービスゲームをブレークしてしまうの
です。
ところが、大坂選手がそこから4ゲームを
連取して、完全に試合の主導権を握ります。
そして互いにキープのあとの第9ゲーム、
5-3で迎えたクビトバのサービスゲーム。
もちろんブレークに成功すれば、そのまま
大坂選手の優勝が決まるのです。
そしてなんと0-40(テニスではサービス
をする方からの数字を示します)という
絶好のトリプルブレークチャンスが訪れる
のです。テニスはミスをしない事が大事だと
名選手が言い残しているように、一度でも
クビトバ選手の方にミスがあれば、試合
そのものを失ってしまうのです。サービス
有利ではありますが、1ポイントも落とさ
ないというのも、相当実力差がないと
無理です。この場合拮抗している大坂なおみ
選手なので、必ず3つのポイントのうちの
一つは必ず取れるという意識はあったはず
です。
つまり余裕が大坂選手の方にありました。
その0-40からのポイントで、しかし
あきらめていないクビトバ選手は、見事な
ラリー戦を展開し、まず一つポイントを
返します。
この時は、余裕が出てきたのか、大坂選手も
クビトバ選手をラケットを叩いて、称えて
いました。
このように、大坂選手は、またクビトバ選手の
精神力がどんなものかこの時は、感じられて
いなかったのでしょう。
ところが、その後連続してポイントを奪われ
なんと、このゲームクビトバが逆に獲って
しまったのです。
この時から、クゾトバ選手の雄叫びが、響き
始めます。
まさかの事態に大坂選手は、動揺を隠せま
せんでした。それがそのままプレーに
あらわれてしまいます。テニスは本当に
メンタルのスポーツで、ほんの少しの動揺が、
タイミングや力の入れ具合を変えて、ミス
につながっていくのです。
つまり自分のテニスをこの後しばらく、
失ってしまうのです。
冷静さを欠いた彼女は、ミスをするように
なり、またネットにひっかかった自身の
ショットが、相手コートではなく、自分の
コートに戻ってきます。
(テニスではネットにひっかかって、
どちらかのコートに落ちるボールの事を
コードボールといいます。)
ほんの少しの差のボールに、現在の自分
自身の精神的な動揺は、さらに乱されて
いきます。
メンタルとともに、こういう「流れ」
というものを、常に感じながらゲームを
するのがテニスです。
つまり今の自分に流れがない事を実感して
いたのでしよう。
そうして、なんと3-5からクビトバ選手に
4ゲームを連取され、第2セットを落として
しまうのです。大坂選手は「キャー」という
叫びとともに、膝を抱えて座り込み、涙を
流します。
逆にクビトバ選手は、それまでの試練を
乗り越えてきた思いを、ぶちまけるか
のような、全身全霊の叫びをあげてます。
ま、まずい。大坂選手を応援する人は、
みんな思ったはずです。
この状態のまま、第3セットに入れば、
間違いなく、クビトバ選手が絶対有利
です。当然トイレタイムアウトで、
大坂選手が時間を取ります。これは
とても有効でした。
もう一度、自分の精神力を取り戻す
時間を、自らに与えたわけですね。
それでも、当然まだ不安が残ったまま、
第3セットを迎えて、やはりプレーで
自分を落ち着けるしかありませんでした。
一番いいのは、最初のサービスゲームを
獲る事、もしそれができなければ、
再び精神が乱れて、崩れてしまい、
もはやクビトバの強烈な精神力の流れを
変える事はできなかったでしょう。
そして第3セットの第2ゲームは、
大坂選手のサービスゲーム、これは
観ている方まで、緊張感が伝わって
くるくらい、ものすごいプレッシャーを
大坂選手が感じているのが、わかり
ました。
しかし、彼女は丁寧にプレーをして、
このゲームを獲り、とうとう落ち着きを
取り戻す事に成功したのです。
5ゲームも続いていた、クビトバ選手の
ゲーム連取もここでストップします。
そして自信を取り戻した、大坂選手は、
続くクビトバ選手の第3ゲームを、
ブレークして、そのリードを保ったまま
優勝を勝ち取ったわけです。
まさに死闘と呼ぶにふさわしい決勝でした。
クビトバ選手の事件を乗り越えての精神力
というものが、魂ごと大坂選手を飲み込んで
しまうかのようでしたが、彼女は、
それに見事に打ち勝ったのです。
もちろん彼女の技術的な面での実力があって
の事ですが、精神的な動揺一つで、がらり
と、その実力が出せなくなるという事を
今回私たちは、まざまざと目にする事が
できました。そしてだからこそ、大坂選手
の一つ一つのプレイやポイントを貴重な
ものとして、みなさんの目を釘付けに
したはずです。
勝ったからこそ言える事かどうか、わかり
ませんが、とても素晴らしい内容の
決勝戦だったと思います。
さて一応私の目からみた試合の技術的な
ポイントをあげさせていただくと、やはり
大坂選手の、ダウンザラインという、
クロスのストロークをストレート方向に
打ち返すというショットをクビトバ選手
よりも圧倒的に多く使い、展開力を持った
大坂選手の攻めのテニスが功を奏したと
思います。
クビトバ選手は、コートを広く使う選手
ですが、前に出てくる大坂選手に対して
深いショットを連発する事で、大坂選手
の足を止めて、リーチの長い守備範囲で
戦おうという作戦でした。しかし、試合
の終盤には、それにも大坂選手が対応して
くるようになったため、クビトバ選手が
次第に苦しくなっていったわけです。
また、大坂選手は、準決勝のプリスコバ
選手相手のサービスに完全に対応できる
リターン力を、この決勝の後半でも
徐々に発揮するようになっていった事も
ブレイクにつながっていったのだと思い
ます。
このように実力でも素晴らしいテニスを
見せた大坂選手が見事に全豪優勝そして
世界ランキング1位の快挙を成し遂げた
という事なのです。
おめでとうございます。そしてありがとう
ございます大坂なおみ選手!これからも
がんばってくださいねー(^^)/