今回徹底比較するサビアンシンボルは
蟹座13度
「とても目立つ親指とともに
少し曲げられている手」です。
これはまず元となった、エリス女史の
チャネリングに立ち合ったジョーンズ氏
の原文を紹介しましょう。
「One hand slightly flexed with
a very prominent thumb」です。
つまりここでは親指によってという
byがつかわれていなくてwithが
使われていますから、私のような訳に
なりますが、松村潔氏は、
「とても目立つ親指で少し曲げられた
一つの手」
と訳されています。
直訳なら私の方が正しいと思いますが、ただ
占星学的な観点も加えての解釈なので、当然
訳し方も自在に変えてよいことになります。
またディーンルディヤー氏の意訳での表現だと
松村氏の場合の翻訳は
「研究のために差し出された、親指の
きわだった手」
となって、
直居あきら氏の翻訳だと
「学習のために突き出された手の特徴のある
親指」
という事です。
確かにディーンルディヤー氏の意訳は、もと
もとのエリス女史のチャネリングに、占星学
的な観点から大きく変化を加えて占星学的
言語による翻訳といったものになっています。
さて私は、この曲げられた手を、目立つ親指が
強調されているところから、物または象徴的な
目標や望みなどをつかもうとしていると解釈
しました。その解釈がすでにご紹介している
以下の記事になります。
「これは、何かをつかもうとしている手
だと解釈します。親指が目立っている
のは、物をつかもうとする時に、伸ばした
手先でものを捉えて、そしてそれを逆側
の親指で物を固定しますよね。親指が、
目立っているのは、つかんだものを、
しっかりと自分のものにするという意志
のあらわれだという暗示です。
昨日の赤ん坊のメッセージを昨日では守る
だけでしたが、今日のシンボルはそれを自分
のものとするということです。
もちろん昨日も集合意識から赤ん坊を守って
きたことで、外からは隠すものなのですが、
赤ん坊からメッセージを受け取って、自分の
中で所有し、守るということに変わった
というわけです。」
この一つ前のシンボルが
蟹座12度
「メッセージを持った赤ん坊をあやす中国人
の女性」というシンボルだったのと合わせて
の解釈になっています。
とにかく、何か大事なものをつかんで所有
するという解釈ですね。
そして松村潔氏の解釈を引用させて
いただきますと
“「親指」は意志力を表し、また「親指」の
つけねの手のひらの膨らみはバイタリティを
意味すると考えられていることから、強い
生命力に支えられた意志的な行動力を示す
ことになります。「曲げられた手」という
のは、手の指を内側に曲げている形だと
思われますが、一般に手の指をまっすぐ
のばした場合は、対外的に主張する事を
意味し、一方、曲げている場合は意思が
閉じている姿勢を表します。このサビアン
シンボルは確信のある姿勢で、貝のように
閉じている生き方だとわたしは解釈します。
(中略)
内部は強い意志で満たされているが、他人
から見るとちよっと閉鎖的です。”
“出典:決定版!!サビアン占星術
松村潔 著
Gakken刊”
これは同じようにエリス女史のチャネリング
を、素直に読み取ろうとした訳し方同士です
が、だいぶ違った解釈になりましたね。
内側に曲げられたというのを、ものを
つかもうと解釈しているのが私で、信念を
持って閉鎖的になっているというのが、
松村氏です。
ただ私のつかんだものを守るという解釈と、
松村氏の信念を守るという解釈で、守り
という意味では、ほぼ同じになるので
共通する部分もあるわけです。
まあ蟹座のサインは固い甲羅で守るという
性質もありますからね。それは
蟹座についてでも説明してます。
さてディーンルディヤー氏の蟹座13度の
シンボルの意訳をもとにしたのが、
直居あきら氏の次の解説です。
わりと難解なので、解釈のもとにしている
ルディヤー氏の意訳からの直居氏の翻訳を
もう1度載せておきますね。
“キャンサー13度
「学習のために突き出された手の特徴
のある親指」
(中略)
このディグリーの人の人生は、一時期
苦しいものになるかも知れない。決断
しようとしても出来ない状況や強制的
変化によって立場の放棄や別れなどの
決断を強いられる可能性がある。
このケースでは、過去を捨てることは
余りに辛いことに感じられると思う。
性格的にも自己を極限に追い込む
ようなところがあり、精神的緊張の
人生という面がある。
無意識に自分を追い込んでしまう
ところがあり、それがネガティブな
心理傾向を生むといえる。
(中略)
自己や他者そして運命を許し、リラックス
した生き方をすすめたい。
しかし、一面では、非常に真剣に人生を
生きる美学があり、それが人々の信頼や
社会的パワーにつながる。
たとえ苦しいことがあっても、天はこの
人を見捨てないことを信頼して、勇気を
もって生きて欲しい。”
“出典:「定本サビアン占星学」
直居あきら著
魔女の家®BOOKS刊”
なかなか難解ですね。もちろん直居あきら氏
自身が、どのような意味をこの蟹座13度に
もたせているかはわかりますが、エリス女史
のイメージの描写が、意訳によって変更され
たものと比べても、さらに大きく感性を
広げておられるようです。
意訳によって、新しく付け加えられた学習
という言葉が、確かに人生の試練を求めて
魂の学びを成就させようとしている性質や
運命につながっているのはわかりますが、
それと突き出された親指が、どう関係
しているのかは、すぐに結びつきません。
ただ私がもう一つ所有している直居あきら
氏の著書「究極のサビアン占星学」
(直居あきら著 Gakken刊)には、
ルディヤー氏の意訳からもさらに
遠ざかった直居氏の独特の翻訳が掲載
されてます。以下のものです。
「親指に特徴のある手はあくまでも学問
(努力)を主張する」
なるほど、つまり学習が魂の学び、そして
人生を生きる上での努力だということを、
このシンボルの手に持たせているという
わけですね。
こうなると、エリス女史のチャネリング
よりも、そこからイメージを膨らませた
占星学的解釈を極めた結果という事
になり、まさに究極のという言葉が
ふさわしくなります。
ただこの「究極のサビアン占星学」で
直居氏は、このシンボルに人生の強い
意志という意味も持たせているので、
これは私や松村氏の解釈に共通する部分
もあるという事を示しています。
今回も三者三様の解釈でしたが、私は
あくまでもエリス女史のチャネリングが
宇宙エネルギーのサイクルを読み取って
いると思っているので、その暗示その
ままを解釈の中心におこうとしています。
そしてそこに占星学的な解釈を加えているの
です。
それに対して、松村氏は、占星学の観点も
サビアンシンボルも同様なものとして総合
して扱い、さらに背景となる知識も加え
ながら解釈しておられます。
そして直居あきら氏は、ディーンルディヤー
氏の意訳をさらに拡大した解釈にして、
やはり占星学の観点も加えて、そして直居氏
のアストラル体や霊的な世界観も加えて解釈
しておられます。
つまり三者とも違うスタイルで、サビアン
シンボルを解釈していってるので、とても
興味深い比較ができるというわけなのです。
ちなみにエリス・フィラー女史の
チャネリングに立ち合ったマーク・
エドモンド・ジョーンズ氏の解釈は、
人生の選択をする上のでの決定に
対する自信を持った意志だという事
です。
キーワードは「決定」です。
意志という点では、私や松村氏や直居氏に
通じるものがありますが、
私の「所有し守る」という意志、
松村氏の内面に強い意志を持った「閉鎖的」
な態度や、
直居氏の「逆境」を呼び込む学びの意志など
とまた違った解釈になっています。
それと私からいわせていただくと、
意志を示すのは、確かに親指ですが、
全体の手が曲げられている描写の解釈が
私以外の三者には見られないのは、
少し納得がいかない部分でもあります。
また意志を示すのであれば、
親指が目立っているという事だけ
では不十分で、親指だけが突き出されて
いるか、親指だけの描写になっている
ものだと思うのですが、いかがで
しょうか?
まあつまり今回は4人とも違う解釈で、
どれが絶対的な正解というわけでは
ないのだと思います。
要は、それらの解釈に相当するものが
同時に共存できるのも、また無限の
宇宙意識の深淵なエネルギーの潜在力
なのではないかと思っています。
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