つい昨日に井上尚弥選手の感動の
試合を振り返ったばかりなのに、
いろいろ会見とか、動画で見てたら
もう一度詳細に観たくて、録画を
もう一度丁寧に見返してみたところ、
会見での井上尚弥選手の言葉など
から、さらなる詳細な分析の解説が
できてしまう事に気づいてしまいました。
この記事は、ボクシングを詳しく楽しみ
たい人たちのために書いていますが、
逆にスポーツの醍醐味を知りたいという
人にもおすすめです。
なんで素人のおまえが、詳細に分析
なんかできるの?
そんな人も多い事は、重々承知して
いますが、ボクシング自体は素人でも、
あらゆるスポーツを詳細に観てきた
ものだからみえてくるものがある
という言葉を返しておきましょう。
では早速詳細を振り返って観ますね。
確かに、歴史的な元チャンピオンの
長谷川穂積さんが、この試合はとても
高度な技術戦で、近年稀にみるような
すごい試合だったし、いつまでも
観たいと思ったというくらい内容の
濃い試合だったのです。
まず、井上尚弥選手の一瞬のスキをついて
ヒットしてしまった、ドネア選手の
左フックですが、これがこの試合を決定
づけてしまうようなパンチになって
しまったという事です。
最初試合後に井上尚弥選手がドネア選手
が二重にみえてしまってましたという
コメントをしたのを、二重にみえて
あんな凄い試合ができるものか、少し
誇張でもあるんじゃないの?と思って
いたら、実際にその通りだったようで、
井上尚弥選手のこのパンチをもらって
からの戦い方をみても、そのような
ハンディを負っていたのが、録画を
詳細に分析するとみえてきたのです。
つまり井上選手は、右目というか、顔
の右半分をドネアから隠すように、
自分の左半身を前にして、とにかく
左ジャブを打つ事に専念している
様子が、3ラウンドから9ラウンド
までを通して観られたのです。
またもう一つの証拠が、試合中に何度も
空振りをしている事です。
いつも的確にパンチを当てる井上選手
が距離感を見失っていなければ、説明
つかない事ですからね。
しかし、よくぞ、それだけ不自由な
目の状態で、あれだけの試合ができた
ものだと思います。さすが超天才だ。
さらに、試合後の検査で2ラウンド目
に受けたパンチが原因で、2カ所も
骨折をしていた事が判明しました。
いったいどれだけメンタルが強いの
でしょうねー💦
さてそのように致命的なダメージを
もらった2ラウンドの左フックについて
振り返りますと、まず伏線は、1ラウンド
目からあったのです。まず1ラウンドで
スピードで井上選手が、ドネア選手を
上回っている事が、観ているものにも
わかったくらいでした。しかし、解説の
これも歴史的なチャンピオンだった山中
慎介氏が、解説で言っていたように、
わずかな差でしかなかったのです。
これまでのように、しっかりと差が
あるようなスピードでなかったという
事です。しかも、そのスピードの差は
足を使った、踏み込みやステップの速さ
の違いで、パンチのスピードはほぼ互角、
そして攻撃の多彩さも互角で、あと
ドネア選手は階級を上げて、ハード
パンチャーたちと戦ってきた事もあり、
この階級では、強すぎると言われた
井上選手のパンチの威力とも、やはり
互角だったのではないかと思います。
そして彼にとって決定的に、これまでと
違って不利だった事があります。
それは、大橋会長が早いラウンドから
コメントしていたように、井上のパンチ
の当たる距離と、ドネア選手のパンチの
当たる距離が同じだったのです。
つまりこれまでの試合のように、持ち前
のステップワークと、踏み込みで、一気
に踏み込んで、自分の距離で、効果的な
パンチを打ち込む事ができないという事
なのです。つまりせっかく踏み込ん
でも、これまでは、それは井上選手の
間合いなので、距離を制してしまう事が
できましたが、今回の場合は、踏み
込んだ場所が相手のカウンターを
食らってしまう距離にもなってしまって
いるという事なのです。
ただ後半には、それが逆に井上選手を
助ける事にもなるのです。
さて最初から見ていきましょう。
1ラウンドを終えて井上選手は、ガードの
上から受けるドネア選手のパンチが、
想定内であった事から、自分は、ガード
さえしていれば、しのげると思ってしまった
のです。それがとても致命的な間違いだった
のです。ドネア選手が、1Rが受け身で
あった事で、スピードに翻弄されてしまう事
がわかったため。2ラウンド目で積極的に
押してくるという戦法に切り替えてきた
時、井上選手は、ドネア選手のパンチ力を
ガードでかわせると思っていて、自分も
すぐさま反撃に出られる態勢のまま、その
攻撃を受けてしまったのです。
つまり、自分も打てる態勢で、相手の
攻撃を受けるという事は、相手の正面に
立ってしまう事になるため、ドネア
選手の多彩なパンチをガードや、上半身の
動きでよけようとする事になるのです。
しかし、ドネア選手は1ラウンドよりも
むしろ速くパンチを繰り出してきます。
そのスピードに対して、まだイメージ
できていなかった井上選手は何度も守勢に
まわる事になりました。
そしてここがポイントなんですが、ドネア
選手は、顔面へのパンチだけでなく、ボディ
も打って、多彩に攻めてきました。
つまり1ラウンドとは違う戦い方をして
きたわけです。そして左フックを警戒は
していましたが、ガードで交わせると思って
攻撃の態勢にいた井上選手の右半身はとても
ドネア選手にとって打ちやすい距離にあった
ため、左フックを警戒して、上にガードが
上がっているところに、左ボディを打ち
込んできます。それも何度もです。
それでもまだ井上選手は、勝ち気なので、
打たれても打たれても、反撃のために
打つ姿勢を崩してはいません。
そして2ラウンド残り50秒あたりの
ところで、その瞬間を迎えてしまった
のです。
この時、ドネア選手は、とっておきの
パンチを用意していました。井上選手は
その時のパンチをボディへ打つと見せ
かけてのフェイントだったと、回顧して
いましたので、どんなフェイントだったの
かと、スローで再生してみたら、
フェイントでは、ありませんでした。
フェイントというのは、いったんボディの
軌道に入ったパンチを一回止めて、
左フックに切り替える事を言うのですが、
そうではなく、その2ラウンドで、
執拗に繰り出してきた左ボディの位置から、
斜め上にフックを繰り出してきたのです。
腕の動きはフックですが、井上選手に
とっては、斜め下からのアッパーの
ようなものです。つまりボディの位置
からだからボディに来るとしっかり
ガードを下げていたので、右顔面は
がら空きだったという事です。
そして打ち上げてきた左フックをもろに
受けてしまった、井上選手は大ダメージ
を受け、まぶたの上をカットしただけで
なく眼球にも大きくダメージを受けて、
ドネア選手が二重にみえてしまうような
状態だったという事です。
ここからは、会見通り、右ストレートを
当てようと思っても、距離感や位置に
狙いを定める事ができないため、とにかく、
逆の左ジャブを打って、相手の動きを
封じていくしか、手がなくなったという
事なのです。そしてダメージを受けた
右目あたりは、相手から隠れるように
左半身の姿勢で、しかも右顔面を何度も
グローブで隠していたのが、録画をもう
一度観ていくとよくわかるのです。
つまり右ストレートというのは、実は、
左フックや左ボディとともに、井上選手
の得意技の一つなので、まずそれが
打てないという事は、一つ目のハンデ
でした。さらにもう一つは、右顔面を
守るために、左半身になって戦うしかなく
、そうなると強い左フックや、左ボディ
が打てないというもう一つのハンデも
負う事になってしまったのです。
これだけのハンデを負いながらも、
あれだけの試合ができたのです。
それこそモンスターではない
でしょうか?
しかし、そんなハンデをもらいながら
も5回になんとドネアを追い詰めた
シーンがありました。5ラウンドの
後半に、ドネア選手が左を当てようと
間合いに入ってきたところを、見事に
右ストレートを打ち込んだのです。
つまりカウンターでしかも深く入り、
ドネア選手はノックアウトされても
おかしくないようなパンチでした。
これは、会見でもいっていた事ですが、
距離感がわからないから、当てにいく
事ができない、右ストレートも、
相手が向かってきたなら当てることが
できたという事ですが、この時の
右ストレートがまさにそれだったのです。
そして最初に申し上げたように、相手が
勝手に自分の間合いにも入ってきて
くれるという展開にもなっていたと
言う事でもあるわけです。
つまりドネア選手が間合いに入ってきた
ところを、井上選手の瞬時の反応で
出した、右ストレートは、深すぎる
くらい相手の顔面を捉えていました。
そしてぐらついたドネア選手に、
井上選手はラッシュをかけていきます。
しかし、なんとか、ドネア選手に
しのがれてしまいます。実はこの時も
井上選手は、自分の右目がよくみえない
事で、パンチの正確性を欠いていて、
相変わらず、ドネア選手の起死回生の
左フックを警戒していたのです。
そして6ラウンドに入って、観客も
私も、当然井上選手が大攻勢に出る
ものとばかり思っていましたが、
何故か、井上選手はそれほど攻勢に
出ませんでした。だからこのラウンド
は、井上選手の方がやや優勢では
あったものの、決定打をドネア選手に
与える事なく終えてしまいます。
会見でわかった事ですが、この時も
井上選手は、右を的確に当てにいく
事ができないので、相手が引いて
守っている時には、打ちにいけない
という事だったのです。会見後に
彼がそういってくれなかったら、
誰もわからなかったでしょう。
さて逆に5ラウンドのダメージから
回復してきた、ドネア選手が
7ラウンドからまた反撃に転じます。
井上選手は、とにかく守勢に回って
苦しそうでしたが、5ラウンドの
ポイントも含めて、自分がポイント
で優位に立っているから、この
あたりのラウンドを自分を休ませる
事に使おうとしたという事です。
これも会見の時に言ってました。
しかし、いつでも同じ攻撃スタイル
しかしてこない、井上選手の動きを、
ドネア選手はだんだんと見切るよう
になります。
そして9ラウンド目に、左右に
ステップしながら、左ジャブを
打ち込んでくる井上選手のパンチ
に対して、顔を傾けてギリギリの
ところでかわして、強烈な
カウンター右ストレートを打ち込んだ
のです。そしてダメージを受けて
いる井上選手にもう一度強烈な
ドネア選手のストレートがとんでくる
事になります。このパンチをもろに
くらった井上選手は、膝が崩れて、
とても危険な状態になりました。
家族の顔が浮かんだために、
持ちこたえた井上選手が、クリンチ
にのがれ、なんとか、ドネア選手の
攻撃をしのいで9ラウンドを終える
事ができたのです。
今度は、ポイントで並ばれたか
ドネア選手に上にいかれたかも知れない
井上選手は、攻撃に出なければ
ならなくなりました。そしてドネア
選手も9ラウンドで優位に立った事
で、セコンドからゴーサインを
もらって攻めにというか、決めに
、やってきます。
実はこの時、カットした右目の
流血がひどくなり、完全に右目が
みえなくなっていたという事ですが、
その時の事を井上選手は「ラッキー
だった」と振り返っています。
なぜかというと、なまじっか少し
でもみえると、どうしても右目
は見ようとしてしまい、そうなると
右目がぼやけているため、相手の
動きに幻惑されてしまうけれども、
全くみえなければ、距離感はわから
なくても相手の動きだけは、はっきり
している左目だけ見えているので
その方がいいというのです。確かに
言われてみればその通りですね。
ただし距離感は全くとれません。
ですが、ドネア選手は、ありがたい
事に決めにきてくれているわけです。
そうなると距離感がなくても、
近くにいる気配や、相手の動きで
距離を取る事ができて、パンチを
当てる事ができるという事だった
のです。しかも、2人のパンチの
当たる距離が、ほぼ同じだった事も
井上選手はすでにわかっていた
事だち思います。
そして温存していた体力をこの10
ラウンドから解放する作戦が見事
にはまり、攻め疲れの見えていた
ドネア選手に的確にパンチを当てていく
事ができたのです。
そして10ラウンドで、流れを引き
寄せた井上選手は、コーナーに戻る
時に、観客を煽ってみせたのです。
つまり観客の応援をパワーに変えた
かった彼が振り返っていたように、
やはり声援はありがたいものだった
という事です。
そして11ラウンド目に、とうとう
パンチを受けてもいいからと、
打ちにいった井上選手の左フック、
アッパー、そしてボディは、
3ラウンド以降見ていたなかった
ひさしぶりの攻撃だったので、ドネア
選手はとまどいます。そして攻め
に転じている時にパンチを受けながら
でも井上選手は前に出てくるのです。
そうようやくここで、2ラウンド目
で井上選手がやられた多彩な攻撃の
ラッシュのお返しする事ができた
のです。
ドネア選手のガードを一瞬上げるために
放った右アッパーからの左ボディに
ドネア選手はついていけずにモロに
井上選手の必殺技の一つ左ボディを
くらってしまいました、ドネア選手は、
息が止まるにような苦しさを覚えた
ようです。
しばらく立てませんでした。ただ
カウントを始めるのも遅く、数え方
も不自然に遅かったレフェリーの
おかげで、10カウントギリギリ
でドネア選手が立ち上がり、この
ラウンドもしのぐ事になったのです。
そして前回もいったにように
ポイントで優位に立った井上選手
なのに、かわすボクシングでは
なく、攻める姿勢を崩さずに攻めて
いき観衆の声援を一身にあびながら
試合終了のゴングとなったという事
です。
なんという内容の濃い試合だった
でしょう。互いの才能がぶつかり
あい、何度も流れが入れ変わる
ようなめまぐるしい展開でしたが、
試合を通して、冷静な判断をして
いた井上選手が、ハンデを負い
ながらも最後にぺースをつかんで
勝利したという事だったのです。
まさにこれぞ真の王者の証明だった
といっていいでしょう。
どうでしたか?素人でもちゃんと
解説できてましたか?
もちろん稚拙な所もあったかも
知れないけれど、わりと井上選手
の激闘を臨場感を持って語れた
ものではないかなと思います。
まあ楽しんでいただけたのなら
最高です。
ではまた(*´▽`*)
191110 井上尚弥 vs ノニト・ドネア
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