幼少の頃に、前世の記憶が
残っている事例と違って、成長した大人
などが、「退行催眠」をかけられる事に
より、過去世とおぼしき記憶を意識的
に「体験」するという事例をこの
シリーズではご紹介しています。
よくわからないという方はその1を
ご覧になってくださいね。
この記事は、レイモンド・ムーディー氏
自身が、退行催眠をかけられる事により
過去世とおぼしき人生を9つも、一時間
ほどの間に「体験」したというエピソード
を紹介しているその2の記事の続編に
なります。
今回もレイモンドムーディー氏の「体験」
した9つの人生から、抜粋してご紹介
します。
「」内が引用で、~が中略の意味です。
「 マンモスハンター
私は突然、毛むくじゃらのマンモスを
狩ろうと走り回る人間たちの中に放り出
された。想像できると思うが、そのような
ことは私の流儀ではない。
しかし、退行催眠の中、人々と同様に
私も腹ペコになつたと感じ、食物を求めて
必死だった。
私たちは皆動物の皮衣で上半身をおおって
いたが、それでも極寒の気候のために
温かくはなかった。足は肌が露出して
いたし、陰部も充分におおわれていな
かった。服装がそんな原始的なもので
あるうえ、武器も石と木の枝くらい
だった。
私たちはマンモスを溝に追い落とし、
必死に叩いて落とそうとした。しかし
マンモスも簡単には死んでくれない。
私たち部族の一人を突き飛ばしたかと
思うと、その頭を一撃で叩き割って
しまった。仲間を失った悲しみと恐怖が
私たちの間に広がった。
戦いが続くさなか、私は自分が肉体から
離れたと感じ、その現場の上空を漂って
いた。そののち、私は次の生へ移った。」
まずは今回の一つ目の人生ですが、なんと
とてもおだやかな草食系の人物の見本の
ようなレイモンド・ムーディー氏が、狩り
をしているというようなシーンに投げ
込まれます。原始的な身なりで、自分の
空腹のために必死で、仲間とともに
マンモスを狩ろうとしていますが、仲間
が、一撃で殺されて、悲しみと恐怖に
打ちひしがれるというシーンです。
この時極寒で毛皮に身をつつんでもとても
寒かったという記憶についてですが、
なんと今回、甲状腺異常の病気に悩まされ
ているムーディー氏は、夏でも厚着をして
過ごすという極度の寒がりなのですが、
おそらくこの時の生での魂の記憶が、深く
関係しているのではないかと思われます。
このことは、ムーディー氏も自覚して
おられないようで、ここには書かれて
おりませんが。
また結局マンモスに、仲間と同様に殺された
ムーディー氏が、再び過去世での臨死体験
で、自分の死後に上空を漂っていたという
事なのです。
その2でご紹介したこの前の人生のときと
同様、臨死体験まで「体験」できてしまう
過去世の記憶は、かなり深いレベルの
潜在意識にアクセスしているようですね。
結局自身の過去世の記憶が、今生で臨死体験
を研究する事につながっているという事も、
間違いないでしょう。ただ過去世の記憶では
臨死体験ではなく、そのまま死んで肉体を
離れたという事になりますが。
また別の見方でいえば、臨死体験がこの世に
戻ってきた人が抱く幻想でしかないという
否定派に対して、これはそのまま死んだ人も
同じ様な体験をしている事を鮮明に示して
いる例ともとれますね。
さてもう一つ、ムーディー氏の過去世を
みてみましょう。
「 ライオンのえさ
私はやがて次の生へ移っていた。
気がつくと、古代ローマのどこかにいた。
私はそこでも、皇帝や貴族ではなかった。
私はライオンのえさだった。深い穴の中に
入れられていた私は、大衆娯楽の一つとして
ライオンに食い殺されようとしていた。
私には長い赤毛の髪と口ひげがあった。
私は今日ドイツと呼ばれる地域から来た者
だった。
そこをローマ人に占領され、捕虜となって
ここへ連れて来られたのである。
私は戦利品を運ぶために使われ、そして
ローマで、人々の娯楽の一つとして殺され
ようとしていた。目の前では檻の中で腹を
すかせたライオンが吠えたけり、檻から
出されるときを今か今かと待ちかまえて
いた。私はあわれみのかけらも見ることが
できず、絶望で胃が痛くなった。
客席の中に、長い茶色の髪が頭の中央で
逆毛になっている男がいた。何かの感染症
だろうが、彼の左目はピンク色で、無表情の
顔が不吉だった。彼は私を見やると、
スナック菓子をほおばり、むしゃむしゃ
食べていた。私の死は明らかに、彼にとって
はただの娯楽に過ぎなかった。
ライオンを檻から出そうとするとき、号令
が響き渡り、会場は沸き立った。ライオンは
私に襲いかかり、打ち倒した。私が覚えて
いる最後のことは、私の体が地面の上で
ライオンのなすがままになっていること
だった。」
“出典:「生きる/死ぬその境界は
なかった」
レイモンド・ムーデイ
ポールペリー 共著
矢作直樹 監修
堀 天作 訳”
今回もムーディー氏の過去世はろくなもの
ではなかったようですね。
基本的に転生を繰り返すというのは、肉体に
囚われた意識レベルなので、やはり自分の
意識を向上させるために生まれ変わったと
いう、世界の古代からの伝承や、多くの
神秘研究家の見解を裏づけているようにも
思えてきます。つまり彼の中で何かを克服
しなければならないものがあるのかも知れ
ません。ただ間違えないでいただきたいの
ですが、意識は無限の階層があるので、
これはレイモンドムーディー氏の、やはり
一部の意識レベルでしかないという事
です。
もちろん生まれて来る人たちの中には、今生
での使命感や、意識にある冒険心や好奇心
から生まれてくる事もあるとは思いますが、
ムーディー氏の場合は、魂の意識の向上の
ためにこの人生に戻ってきたような感じ
ですね。
このライオンの餌になるシーンは、その
人生よりも過去世である今日の一つ目の
本来の性質とは裏腹に狩りをする人生の
投影だったのが、逆にこの人生では
猛獣の餌にされてしまうシーンになって
いて、結局獣に殺されてしまう人生を、
繰り返しているように思われます。
つまり意識の向上のために転生をしたよう
にもとれるという事です。
それにしても猛獣に食べられるような人を
見てなんのあわれみも持たないローマ人
というのは、どうやら日本人の意識とは
違うものだったようですね。
少なくとも犠牲者に対しての悼みという
ものは日本人に特に強くみられる心情の
ようです。
またこの時の人生でも臨死体験をして、
ライオンに食べられる体を外から苦痛も
感じずに見ているというのは、まさに
臨死体験も過去世の記憶も真実だと
思わせるものでした。
さてさて興味深いムーディー氏の過去世
のエピソードはまた次回でもご紹介したい
と思います。
ではまた(^^)