夏井先生?

ご存知の方も多いと思いますが、
毎日放送系(関西ではTBS)木曜19時
から一時間ものの番組「プレバト」に
ついてです。ダウンタウンの浜ちゃんの
元気な声で始まるこの番組は、梅沢富美男
さんや東国原さんなど魅力的なタレント人
で盛り上がり、最近好視聴率を稼いでいる
んですけど。
自分もわりと水彩画とか消しゴムハンコ
なんか特に好きで、よく見ています。
俳句はそれほど好きじゃないけど、梅沢
富美男さんと夏井先生のバトルが楽しみで
たまにみてます。
ただいつも思うのは、全てのジャンルでの
専門の先生方がいってるから、出演者が
なんでもかんでも、「へー」「なるほど」
相づちうつの、いつも違和感を持ってみて
ることが多いです。もちろん先生に嫌われ
たら、査定に響くとかあるのかも知れませ
んが、あまりにもうのみにしている姿は、
なんか、迎合だけするような雰囲気をお茶
の間のみなさんに届けて、蔓延させるようで
自分はいやですね。
もちろん水彩画や消しゴムはんこは先生の
レベルが圧倒的だと、誰にでもわかるので、
自分は全て納得してますが、俳句なんかは、
文を書くことをライフワークにしている
自分としては、つっこみどころ満載ですね。
多くの人が、経歴とか肩書きで、その人の
いってることを判断します。
ある程度までは仕方がないにせよ、全部
うのみにしては危険ですよね。
専門家だって、そのレベルは千差万別だし、
また専門外のジャンルとの関係で矛盾が
ある時もあります。
そんな時は、やっぱりみなさん自身に判断
したり、考えたり、感じたりする能力が
備わっていないと、専門家にまどわされ
るだけになってしまいますよ。
そこで俳句なんですけど、なんでもかんでも
言葉を切り詰めていく俳句は、実はあまり
好きじゃありません。
読み手が、その少ない言葉で深く感性を広げ
ていくことを前提としているのは、逆に
いえば、どんな俳句でも読み手次第という
ことにもなりますし、作者の意図をどれだけ
詰め込んでも、充分には伝わりにくいもどか
しさがあるからです。
もちろん少ない言葉で伝わり合うことも
素晴らしいとは思いますが、どちらかと
いうと少ない題材から、あふれるほどの表現
を引き出して、それを多くの言葉にしたい
自分とは、もともと相容れないものがある
のです。(まあ支持されないのはどちらの方
かよくわかりますが、でも黙らないタイプで
して)
で、昨日の6/14木曜日のプレバトで
すが、いつも冒頭からいきなり俳句に
なる事がほとんどなので、軽くみてたら
まずはタレント?の横澤奈津子さんが見事に
才能あり第二位になりました。
その俳句がこちらです。

「傘閉じて
   路面に沈む
     梅雨夕焼け」

(毎日放送系プレバトより)
いい俳句じゃないですか。俳句に詳しく
ない自分でも、この句のよさは充分に伝わり
ます。最後の言葉は「つゆゆやけ」と読む
季語らしいですが、言葉の調子もリズムが
良くて、梅雨の日常の小雨が続くような
ある夕暮れ時に、雨がやんだなと思って、
傘を閉じたら、道路のぬれた地面に、
夕焼けが映り込み、ちょうど日が沈む
ところだったという情景を詠んだ俳句なん
ですけど、みなさんもこれはいい俳句だと
思いますよね?
つまり直す必要はないと僕は思ってました。
ところが先生、この俳句に惜しいところが
あるといつものように威厳を持って、最初の
傘閉じてを次の二つのほうがいいと直し
はじめました。

傘閉じてのかわりに「外つ国や」
(とつくにや)と
「サイレンや」です。
最初の「外つ国や」の方は、外国でその
ような情景を読むと、俳句の世界に広がり
が出るとおっしゃってましたが、確かに
世界は広がりましたが、外国には梅雨の
季節感はありません。ここ日本でこそあじ
わえるものです。イギリスなんか年中
雨降ってますから、季節感などないのが
よくわかりますよね。そもそも日常の
なにげない生活の中に光るものを感じる
から親近感が沸くのに対して、異国情緒
あふれるところで、あじわうというのなら
そもそも別の俳句になってしまいます。
それをまた出演者や会場のみなさん
いっせいに「ほー」「なるほど」です。
これはみなさんの和を重んじる心のあら
われなのか、はたまたみなさん画一的な
感性の持ち主なんでしょうか?
もう一つは「傘閉じて」の代わりに
「サイレンや」という言葉を入れた
先生は、サイレンの響きに驚いて地面を
みたら路面に日が沈む光景が見えていた。
というのをこれまた広がりのある世界観を
詠んだ俳句のように説明してくれたので
すが、どちらかというとサイレンはあまり
いい時にならされるものではありません。
救急車、消防車、パトカーなどどちら
かという警戒心を呼び起こすような音です。
そんな気持ちでおだやかな夕焼けを路面に
感じれるものでしょうか?
むしろ雨の音で邪魔されていた静寂が
戻ったところに夕焼けを路面に感じる
方が、豊かな情感につながりませんで
しょうか?
夏井先生?出演者や会場やテレビスタッフが
みんな納得しているように見えても、
こんなにつっこんでいる人間が確実に一人
おそらくはもっと多くいるだろうという
ことを忘れないでくださいね <(_ _)>

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